
“デフレカルチャーとこれからの疑似公共施設―スリープオーバー・ラジオを聞いて―”
今日は、俺が触れたメディアについて、思うことをそのままに書いてみよう。という一環で更新することにした。
取り上げるのは、ニート(アカウント見ましたが、ただのニートじゃない)のジョージ氏(@jo2geor2:Xアカウント)と編集者として活動なさっているせしも氏(@seshiapple)が配信しているスリープオーバー・ラジオの「第35回 デフレカルチャー」(2024年1月24日配信)である。(参考1)
まず、前提として、俺は地方出身だ。ラジオに出演されたジョージ氏、せしも氏、りおっぴ氏とは、出身や年齢も違う。大学は県外だったが、それもまたド田舎だし、都内のデフレカルチャーなんて何一つわからない。
今から書くことは、デフレカルチャーに関することだが、内容は個人間で左右されるものであるし、俺が大胆に解釈違いをしているのかもしれない。
疑似公共施設。確かにそうか。最近は、学生がファストフード店で勉強をすることについて、良いことかどうか、ネットで評価が分かれていたけど。純粋に茶をしばきにきた方々には不快なんだろうな。学生はうるさいやつがいるしね。(みんなそんな人ばかりじゃないけど。)
自分たちはある程度金を払って空間を手に入れているのにも関わらず、学生の注文なんてたかが知れている。注文金額は奴ら(失礼)の倍払っているのに、同じサービスを受けるなんて気に入らない。
それに、店側も回転率のことを考えると、おおらかに容認できない、というところまで来てしまったわけか。昔は地方でも24時間の店が多かったけど、だんだん減りつつある気がする。当たり前だけど、社会が全体的に余裕なさげだ。
そして、驚いたのは、りおっぴ氏(若者)の「コインランドリーに集まって話をする」という発言だ。ド田舎住みの俺にとっては、羽虫が大量に集まって掃除が大変そうな場所としか思っていなかった。けれども、空調はほどなく利いているし、集まって話をするのにはかなり快適な場所だ。
LUCKY TAPESやマカロニえんぴつの楽曲でも、コインランドリーを題材にしたものがある。結構流行りなのだろうか。(流行に疎い)曇りや雨のせいで、洗濯物が乾かないときに使うから、俺みたいな人間は「曇りの日=感情の曇り」とか「湿った感情」無理やり乾かす、みたいな安直な発想しかできない。これはエモ感情ともつながりがあるのか。もっと調べないとわからない。
・地方の若者陰キャと現代のSNS、ファスト風土との関係性。
簡単ではあるが、陰キャの定義をしておく。陰キャとは、どちらかといえば、非リア充でオタク、コミュニケーション能力が低めな人のことを指す。(参考2)(俺のことだな…。いかん、いかん。脱線)このような側面から、陰キャは、受動的な性格だと言えるかもしれない。
さて、順を追って解説していこう。まず、地方の若者陰キャ(以下陰キャ略)たちは、将来への希望を失うことになる、というもの。
なぜそうなってしまうのか。それは自身の人生が、周りの環境によって行き詰っているように感じられるからだ。
中学校、高校、もしくは大学といった場所において、コミュニケーション能力の高い人々(所謂、陽キャ)のつながりを嫌というほど見せつけられる。また、SNSの発達につれ、陰キャたちは、自分と同年齢の陽キャやインフルエンサーたちとの容姿、学歴、金銭感覚の違いを意識させられる。このような状況下において、他人を気にせず、自信を持って生きよ。というには厳しいものがある。
また、ファスト風土も陰キャたちの希望に影響を与えていると考えられる。ファスト風土とは、大型店の出店規制がロードサイド(国道沿い)に立てられた現象のことを指す。社会学者の三浦展は、自身の論文「ファスト風土=持続不可能な風土」にて、このように述べている。(参考3)
「地方のショッピングモールに行けば分かるが、そこには世界中に店舗展開しているCD店がある。20年前までは東京や大阪のような大都市にしかなかったような店である。それが今は日本中の田んぼの中のショッピングセンターにある。地方の若者にとっては、このような拠点が地元にできることはうれしいに違いない。しかし見方を変えれば、それは、働いて収入を得ようとか、そのために東京に行こうといった意欲を持つ必然性がなくなるのだ。」(三浦2018)
つまりは、ファスト風土は若者の上昇志向を削いでいるというわけである。これは地方の若者陰キャにおいても同じことが言えるはずだ。
無力感に関して言えば、このような傾向もみられる。今日の日本や国外の若者の間では、シティ・ポップブームが巻き起こっている。これは、過去の日本の輝きに思いをはせることで、暗い見通しの将来に光を取り戻そうとする動きであり、その場所は過去の映像で見たことのある東京、そして、当時の音楽であるシティ・ポップである。と、メディア評論家である高橋幸治は述べる。(参考4)
『懐かしく思う「知らない場所」、恋しく思う「存在もしない世界」、「救済を求める人々」が渇望してやまない「失われた理想郷」、それこそが、経済と文化の両面における繁栄に彩られた1980年代の日本、とりわけ東京であり、その情景や空気、浮足立つ人々の気分が凝縮されたものこそ、当時の人々が耳にしていたシティ・ポップなのである。国籍を問わず現代の若い世代にとってシティ・ポップとは前面を覆う蒸気の波から微かに漏れる一筋の光明なのだろう。(中略)
…グローバル資本主義、体力消費社会、情報消費社会、その駆動力としての新自由主義の行き詰まりによってもたらされたさまざまな弊害のつけを支払わされる若い世代にとって、現代と対極にあるかつての華やかであった世界、眩しいほどに輝いていた世界のイメージだけで十分なのである。
文学や映画に描かれるディストピアを絵空事として受け流すほど呑気ではおられず、かと言って無根拠な空気でユートピアを猛進するほど純朴でも無垢でもなく、このままでは現在に永遠に閉じ込められてしまいそうな人々の不安と憂鬱が向かった「終着点」。それが映像や画像で見たことのある過去の日本であり、その中心地であった東京の空気を余すことなく感じさせてくれるシティ・ポップであった。』(高橋2021:53)
・これからの地方の陰キャとDoomer音楽、waporwaveの親和性
本論に入る前に、Doomer音楽やwaporwaveとはいったい何であるか、解説しておく必要がある。
Doomerというのは、「主にインターネットにおいて、人口爆発、気候変動、汚染、核問題、経済活動の行き過ぎによる生態系への影響、AIによる暴走といった国際的な問題について過度に悲観的、運命的になっている人々のことを示す用語である。」と説明される。(参考5)
彼らは、主に金のない男性達であり、孤独や無気力、空虚を抱え、夜に散歩をするのが趣味らしい。
Doomer音楽というのは、こういった不安を抱えた人々が、散歩をする際に聞く音楽のジャンルのことを指しており、暗いテイストのスローテンポな音楽が特徴だ。(参考7)
waporwaveというのは、「2010年頃にweb上の音楽コミュニティで生まれた音楽ジャンル」である。(参考8)「過去に大量生産されて忘れ去られた人工物や技術への哀愁、資本主義や大衆文化、1980年代のヤッピー文化、ニューエイジへの批評や風刺として特徴づけられている」とある。(参考9)
奇抜なパステルカラーで彩られた、近未来を想像させるイラスト。ノイズがかかり、はっきりとしない音を奏でるシンセサイザー。まるで濃い霧の中で迷子になっている気分である。
このような曲調は、聴き手の不安を煽っているように捉えられる。しかし、何故だか、当時を過ごしたことがないのにもかかわらず、なつかしさを感じさせるような情景がそこにはあって、逆に安心感を与えているように思うのは、俺の気のせいなのだろうか。(あくまで、個人的感想。)
本題に入る。
ラジオでも登場したデフレカルチャーたちは、すでに登場したファスト風土の風景をつくりだすことに貢献している。日本において少子高齢化が加速すると、施設は人手不足により、その土地から撤退を余儀なくされる。当然、撤退した店舗の廃墟が続々と出てくるはずだ。
これらの廃墟群が乱立する風景は、前述したようなDoomerたちが好むような空虚、そしてwaporwave が含蓄している、過去にあったきらめきや不安を煽る世界観を想起させる。
今後、この様子を日常的に目の当たりにする陰キャたちは、2024年現在のシティ・ポップの流行の中で過ごす若者たちと同様に、過去の栄光を自身の将来への希望として扱うようになる。
陽キャ、インフルエンサーたちがSNSで青春を闊歩する。一方、地方の陰キャたちは、その感情を慰めるべく、無料で利用できるYouTubeのコメント欄へと向かい、自身の街と似ていて、どこか親しみを感じさせるDoomer音楽やwaporwaveに似た世界観に入り浸っていくのではないか。
時は流れ、舞台はデジタルの世界に移される。廃墟となった店内は、閉店前と変わらぬ様子だが、店外は懐かしさという名の濃霧で覆われている。
スクリーンを素早くタップする陰キャたちは、みなイヤホンかヘッドフォンを身に付けている。身体をテーブルに臥す者がいるかと思えば、虚空を仰ぐ者もいる。彼らは絶望しながらも、手元を明るくさせて、失われた過去の栄光という名の未来に、夢中になっている。
そんな日が、地方の陰キャと呼ばれる若者たちに、いずれやってくるのではないか。
と、俺はそう思うのだ。
(参考資料)
(参考1)sleepover radio//スリープオーバー・ラジオ#35デフレカルチャー
URL(https://podcasts.apple.com/ph/podcast/35-%E3%83%87%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC/id1516886278?i=1000642699276)
(参考2)ねとらぼ記事 今どきの若者がネットで使う「陰キャ・陽キャ」ってどういう意味?
URL(https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1705/21/news015.html)
(参考3)三浦展「ファスト風土=持続不可能な風土」『日本の住まいと風土性:国際日本文化研究センター共同研究報告』2007年,人間文化研究機構国際日本文化研究センター,P149
(参考4)高橋幸治『「シティ・ポップ」はなぜ発掘されてしまったのか?レトロピアとしての未来』『FAB』vol2,2021年,P53
(参考5)Doomer Wikipedia
URL(https://en.wikipedia.org/wiki/Doomer)
(参考6)Doomer入門
URL(https://spotlight.soy/detail?article_id=pin2ovhvc)
(参考7)Russian Doomer Music vol.3(Superior)
URL(https://www.youtube.com/watch?v=wcaZcbain2s)
(参考8)TOKYO DJ部【謎ジャンル】ヴェイパーウェイブとは?②
URL(https://tokyodj.jp/archives/1845)
(参考9)TOKYO DJ部【謎ジャンル】ヴェイパーウェイブとは?①
URL(https://tokyodj.jp/archives/869)
URL元はすべて2024年3月24日アクセス確認済。
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