手術当日の朝にこなしたことは、なにやら薬を飲まされ、ナースに陰毛を剃られ、歯を磨き、シャワーを浴びて、病院から支給された薬用石鹸かなにかで性器を洗ったことくらいだった。

手術は8:30AMからの予定だったのでけっこう時間が余ってはいたけど、なにか思い残したことを聞き出すだとかっていう雰囲気でもなく、Aさんはとにかく眠そうにしていたので仮眠を取ることに。早朝に病室に来た当方を気遣ってくれて、「当方も少し寝なよ」と言われたので当方もソファーに横になった。

8:15AM〜8:20AMくらいだったと思うが、ナースが3人くらいやって来て、手術へレッツゴーみたいな感じになった。

ナースの1人がガタイのいい男性で、Aさんが横になったベッドを押して病室から出て行ったので、当方もついて行った。

エレベーターで病院の3階に降りて、廊下をゴロゴロと運ばれて行くAさん。
エレベーターでも廊下でも特に会話はなかったし、なにを話せばいいのかも解らなかった。

手術する区画の入り口の扉の前まで来たときに、「付き添いの人はここまで」と言われた。

当方はAさんとハイタッチし、手を振りながら「がんばって」と声をかけた。
Aさんは苦笑というか、どさくさに紛れて人の手を触ってんじゃねーよ、みたいなリアクションを一瞬した後、手を振りかえしてくれた。

Aさんはそのまま、扉の向こうへ吸い込まれて行った。

Aさんが手術室に向かうのを見届けた途端、急にこらえきれなくなって、トイレに駆け込んでガン泣きした。幸いトイレには自分以外には誰も入って来なかったが、20分くらい声を出して泣いてた。

ようやく泣き止むことができて、Aさんの病室に戻ったら、ベッドがなくなってやたらと広くなった部屋の真ん中にポツンとAさんが脱ぎ捨てて行ったスリッパがあったのを見てなぜかまたガン泣きしてしまった。
https://imgur.com/a/YmO2OWO

* 写真を見返して気づいたんだが、当方が病室に戻った時点でまだ8:10AMだったみたいだから、Aさんが手術室へ向かったのは8時よりも前だったわ

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Imgur: The magic of the Internet

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手術は5〜6時間かそれ以上かかると聞いていたので、セントラルプラザをぶらついたり、病院の食堂でランチを食べたりして時間を潰した。

せっかくタイに来たんだから、ということで、セントラルプラザのAISのお店でeSIMの契約をしたんだけど、これがまた海外旅行をする際に神がかり的に便利なSIMなので重宝している。
興味がある人は「AIS SIM2Fly」でBingってみてくれ。
https://imgur.com/a/hV6ioqd

そろそろ終わるかな? と思って1時過ぎくらいからソワソワと病院の3階で待っていたところ、3時過ぎくらいに手術スペースの扉が開き、ベッドに乗せられたAさんが出て来た。

駆け寄ると、顔が真っ青で酸素マスクがつけられていて、他にも全身にいろいろな管が刺さっていて、意識があるんだかないんだかよく判らない感じだった。

病室へ戻る際のエレベーターの中でAさんは一瞬だけ目を開いたんだけど、当然、話をする余裕などなく、すぐにまた目を閉じていた。

ナースの人に「手術は無事終わったのか? 彼女は大丈夫か? 」と聞いたところ、「大丈夫、問題ない」と言ってくれたが、ちっとも大丈夫そうには見えなかった。

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当方、病室に着く直前くらいでまたこらえきれなくなりガン泣き。

病室ではナースたちがベッドや、ベッドの脇で使う医療器具とかをテキパキとセッティング。
当方には洗面器が渡され、Aさんが吐きそうになったら使ってくれと言われた。
ちなみにこの洗面器は入院期間の1週間、Aさんがベッドで歯磨きをするのに大活躍した。

セッティングが済むとナースは去っていき、病室にはAさんと当方の2人だけになった。
Aさんはまだ寝ていて、室内には酸素マスク用になにやら液体が泡立っている音、心拍かなにかを測る機械のピッ... ピッという音と、Aさんの寝息の音が聞こえていた。

寝息を聞くとなぜか、Aさんが生きていてくれているんだ、という実感が湧いて安心した。

4:30PMくらいだったか、Aさんが目を覚まし、ここどこだっけ? みたいなテンションで病室内を見回した後、当方に気付いて手を振ってくれた。

>>122
当方、泣き虫なんすよ、、
E.T. を見ていて、これからチャリが飛ぶって分かってても飛んだ途端にガン泣きするくらいすぐ泣きます

手術当日の出来事までは書ききろうと思ってたけど寝落ちしてしまった

4:30PMごろにAさんが目を覚まし、当方は「ハッピーバースデー」と声をかけた
これは、トランスジェンダーの人が性別適合手術をした日のことを、本来の自分の姿になれた・戻れたという意味合いでセカンドバースデーと言うことがある、と聞いたことがあったからなのだが、Aさんには通じなかったみたいで「こいつなに言ってるんだ? 」みたいなリアクションだった

一応、自分が手術を受けたことは理解できていたみたいなんだが、声はかすれきっていて話をするのは辛そうだった。

ごちゃごちゃとAさんに繋がっている管の中に痛み止めとしてモルヒネを注入するやつがあって、めちゃくちゃ痛いときに自分でスイッチを押して注入する (一定回数以上は注入できないようにストッパーがかかっている) んだけど、Aさんは「これ本当に効いてるのかな? 」とか言いながらそのスイッチを連打していた

5:30PMごろにナースが「ディナ〜♪ 」とか言いながら晩ご飯を運んできた
Aさんは、「え、もう? 」とか言いながら喰えるわけねーだろっていうリアクションをしていた

当方の記憶ではガッツリとサンドイッチみたいなのが出されて「いやいや、そこはスープとかだろ... っ!! 」と思っていた、っていう印象なんだけど、写真を見返すと手術当日の晩ご飯はスープだったんだな、、変に記憶が差し変わってるわ。
https://imgur.com/a/JeVL8LZ

ただそのときのAさんはスープを飲む体力すらなく、かろうじてリンゴジュースを二口か三口、口にできただけだった
当方がストローを刺したリンゴジュースのコップをAさんの口元に持っていくと、Aさんはそれを飲むために枕から頭を少し浮かせるだけでも辛そうな感じだった

Aさんは突然「私が一番好きな飲み物って知ってる? 」とクイズを出してきて、「リンゴジュースが一番好きなんだ」とのことだった。

あと、食事のプレートに書かれた名前の敬称がMS. なのをとても喜んでいた

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Imgur: The magic of the Internet

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ちなみにスポーンでは術後の食事については特に制限がなく、手術直後からなにを食べてもOKなんだけど、ベッドから動けない期間はなるべくウンコしなくて済むように、繊維質の多いものは避けるようにお勧めされる