俺とベジータは、人生という長い道のりをかけて“自分自身を許す旅”に出ている。

彼は戦闘力を求める。俺は人からバカにされないような学歴や、今よりももっと、人権を尊重されるような就職先を求めた。

それが世間の人々にとって是とされるような結果を残したとしたとしても、自分で定めた“人並み”のボーダーを超えているか、それがわからない限り、自己ベストを許容できない。

いや、良いものだと、わかったとしてもきっと許せないだろう。

今の地位を失うことが不安で仕方ない。満足できない。

こんなの誰でも出来て当たり前だ、なんて言葉で誤魔化す。

苛烈なほどのライン越えが自身を苦しめることになることぐらい誰でも知っているのに、まだ足りないという欲求とそれに裏打ちされた不安、そして自身の無さはとめどなくあふれ続ける。