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袈裟姿の教授がすっと前に出ると、式辞も何もなく合掌をした。あと続くように学生の坊主も合掌をして供養が始まった。供養内容だけで大学が特定できるので詳細は許してください。
太陽は真上に昇っているのに、そこまで暑くはなかった。ただ夏なのに蝉は鳴かず、枝葉の揺れる音と川の音に坊主のたちのお経が溶けていった。
女性が泣き崩れ、震えながらも手を合わせてたのと、旦那さんが背中をさすってた姿が今でも頭にこびりついてる。
供養が終わり、帰路のバスに坊主がどんどん入っていく。割と後の方から乗り込んだから友達と一緒に座れるか心配やったけど奥に二人がけ席が空いていた。「あそこ空いてるぞ」と行こうとしたら数珠を貸してくれた友だちが「ここに座っとき」ってよくある通路を挟んだ一人様座席に僕を座らせた。補助席を出して座るより、クッション性のある座席に行った方が良いのではと友人に提案しようとしたら最後に乗り込んだ教授が優しい声で「連れて帰らんとあかんからな」って呟いた。その目線の先を僕は見れなかった。