牧野富太郎博士。
漢籍や古典にも明るく、
文献に載っている品種の同定に関して多くの著述があるが、
結局植物学会の学閥闘争で主導権を握れず、
研究者としては主流になれなかったことが非常に惜しまれる。

現在の植物図鑑を見ていても、
例えば中国における「椿（チン）」と日本の「椿（ツバキ）」のように、
全く別物の植物が文献上も同種のように扱われているが、
かなり早い段階でそれを否定し、実証に注力されている。
タイサンボクなど「泰山木」という字が宛たるはずもなかろうに、
今でも公園に行けば「泰山木」と堂々と書かれているのを見ると、
他人事ながら口惜しさが込み上げてくることがある。