※本SSは二次創作です。実在するニーナちゃんや現在構成されているニーナちゃん概念、その他諸々とは一切関係がありません。

【登場人物】
① ニーナちゃん：美少女。お酒が飲める。　
②俺：　イケメン。　お酒が飲めない。貧乏。
③おっちゃん：　フツメン。お酒が飲める。小金持ち。
④新渡戸：　侍。若ハゲ。右大腿骨にヒビがはいっている。

【状況】４人でコタツを囲んで豚肉と白菜の鍋を食べている。
【議題】ニーナちゃんがVtuber になれるかについて。

そのまま麻雀やってもええんやで?（ﾆﾁｬｱ

ゴトゴトゴト...鍋がいい感じに煮えている。卓を囲うは。
煮え切らない様子の女子が一人。火加減を調整する男が一人。
ほどよく酔いの回ったおっちゃんが一人。足を怪我した武士が一人。

ニーナ「うちなぁ、Vtuberになろうとおもってん」酒ｸﾞﾋﾞｰ
俺　　「うん。もう十分煮えたんじゃないか」
ニーナ「全然興味ないなぁ自分。うら若き妙齢の乙女が頬を染めて相談してんねんで？」
俺　　「頬染めてるのはお酒入っているからでしょ。はい、新渡戸さん」
新渡戸「かたじけない」

おっちゃ「ニーナちゃん、Vtuberってのはねぇ、簡単になれるものじゃないんだよ。」
ニーナ　「おっちゃん、簡単かどうかじゃないねん。なるか、ならんのか。それだけや」酒ｸﾞﾋﾞｰ
おっちゃ「いやいや、Vtuberはねぇ、甘いものじゃないのよ」
ニーナ　「辛いとか苦いとか、そういうもんやないねん。酸いも甘いも味わい尽くしとんのや、こっちは。味のさしすせそや」酒ｸﾞﾋﾞｰ

新渡戸「俺殿。この新発売の出汁、なかなか良いですな。旨味がよく沁みているでござる」
俺　　「ほんとですねぇ。やっぱ数百円でも高いものは違いますわ」

ニーナ「お前らなぁ、せっかく女の子が相談してるのに、そんなんだからモテへんねん」酒ｸﾞﾋﾞｰ
俺　　「急に言葉のナイフぶっさすのやめてくれませんかね...」
新渡戸「拙者はモテモテでござるよ。つい先日池袋の『色街』へいったときは」
ニーナ「あー武士の惚気は別にええねん」酒ｸﾞﾋﾞｰ
おっちゃ「ニーナちゃん、俺はちゃんと聞いてるよ」
ニーナ「やっぱもつべきものは話のわかるおっちゃんやな♡」酒ｸﾞﾋﾞｰ

サムライが居る世界観、嫌いじゃないぜ

俺　「で、なんでニーナさんはVtuber になりたいんですか？」
ニーナ「お？気になるか？そんなに酒の肴にしたいんか。しゃーない、耳かっぽじってよく聞きぃやぁ」酒ｸﾞﾋﾞｰ
俺　「ｱｯﾊｲ」

ニーナ「あんなぁ。うちふだん、おっちゃんねるの運営補佐をやっとるやんかぁ。」
新渡戸「ハフハフ」（豚肉ほおばりー）
ニーナ「まだこの仕事に就いて日が浅いんやけどな。おっちゃんの色んな悩みとか、愚痴とか、見とるの楽しいねん。」

おっちゃ「そう言われると、一おっちゃんとしては、嬉しいものがあるねぇ」しみじみ

ニーナ「ただなぁ。そうして運営していると、ふと思うことがあんねん」酒ｸﾞﾋﾞｰ
俺　　「ニーナさん...」
おっちゃ「うんうん。運営側としては、こっちには分からない悩みもあるよね」

ニーナ「そうやで。1日の仕事が終わり、ビール片手にyoutubeでも流してるとなぁ。つい、思ってしまうんや」酒ｸﾞﾋﾞｰ



ニーナ「ちやほや、されてぇなぁ。ってな」酒ｸﾞﾋﾞｰ

俺　「ちやほや...？」
ニーナ「わかる！言いたいことはよ〜くわかるっ！」缶ビール叩きつけッ！
おっちゃ「ひぃっ！」
新渡戸「曲者じゃ！...あっづゥ！」（※大腿骨にヒビあり）

ニーナ　「あっづゥ！」（よそっていた鍋の汁がこぼれて被弾）
俺　　「ちょっともう、大丈夫ですか？」

俺は手早くおしぼりでニーナちゃんの手元を拭き、おっちゃんをスルーし、新渡戸が愛用している刀を遠ざけた。新渡戸が額に脂汗を浮かべてじっと痛みに耐えているほか、幸い、誰も大事には至っていないようだ。

俺が汲んできた水道水をぐぐっと飲み干したニーナちゃんは、ぷふぅ、と一息ついて話を続けた。

ニーナ「私がふだんからおっちゃんにモテモテなのは、よ〜くわかる」
ニーナ「でもなぁ、もっと『ニーナちゃん可愛い！』とか『ニーナちゃん萌え！萌え超えて蕩れ！』とか言われたいねん。承認欲求を満たしたいねん」

俺　　「はぁ...」
ニーナ「でもなぁ、それだけじゃないんよ。おっちゃんなら分かってくれるよな？」
おっちゃ「ブフゥ」咳き込む音

鍋を食って油断していたおっちゃんは、急に話を振られて咳き込んだ。俺はため息をついておっちゃんにおしぼりを投げる。おっちゃんは申し訳なさそうに溢れた汁をふき取ると、ニーナちゃんに返事をした。

おっちゃ「分かるよ。でもニーナちゃんから改めて聞きたいな」
俺　　「わかってないじゃないですか」

ニーナ「そういう野暮なツッコミするからモテへんねん...この鍋旨くない！？」感激
新渡戸「いつもよりワンランク上の出汁を使っておるからな」得意げ

俺　「口癖みたいにモテないっていうのやめてくれませんかね...とりあえず鍋、食べちゃいましょ」

数十分後。

あらかた鍋の具材を食べ終わり、締めのうどんを茹で始めたところで、ニーナちゃんが改めて口火を切った。

ニーナ「うちなぁ、Vtuberになろうとおもってん」酒ｸﾞﾋﾞｰ
俺　　「ループ物かな？」

ニーナ「Vtuber になったら、働かなくてもお金が入ってくるんやろ？『好きなことをして生きていく』そういう生き方に憧れとんねん」
俺　 「そうだったんですか」
おっちゃ「でもねぇ、そこまで有名になれるのって、ほんの一握りなんだよ？」
新渡戸 「そうなのでござるか？」

おっちゃ「うん、まず機材の初期投資に20万ぐらいでしょ？それにVtuberとしての方向性、自分の強みを理解したプロモーションが必要不可欠だね。最初は色々なことを試しながら継続して、リスナーを大切にしながら、少しずつ自分の知名度を広げていく。そこまで努力しても、登録者数1000人の壁を超えられない配信者ばかり。厳しい世界だよ。」

俺　　　「急にすごい喋りますね」

ニーナ　「おっちゃん詳しいな〜…Vtuberの構成作家みたいや」

おっちゃ「っていうか俺、バ美肉おじさんとして活動しているし」

新渡戸・俺「！？！？」

ええやん