左翼が求心力を失うのは右傾化か? | おっちゃんねる

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左翼が求心力を失うのは右傾化か?

2024年11月10日
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8. 名無しのおっちゃん

2024年11月11日 12時29分 ID:8c5a9d4c69 (1/4) ID抽出 返信

>>1です。
「ザ・レフト──UK左翼セレブ列伝」を読み進めているところですが、簡単にどういった本であるかを書きます。
著者のブレイディみかこという人はもしかすると2019年に上梓された「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が話題になったことでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。(私は未読ですが。)
本書はその5年前、2014年に刊行されたものになります。

著者のスタンスとして、まず自分はポリティカルな作家ではなくゴシップ記者だということがしばしば語られます。
つまり本書は政治系記者が書いたものではなく、あくまでセレブリティの動向を捉えたものとして読むと分かりやすそうです。
当人の政治的スタンスとしては左派であることはまず間違いなさそうですが、ここに少し日本で言う「左派」とイギリスにおける「左派」には違いがあります。
日本では社会主義や共産主義を標榜する立場を「左派」としますが、本書を読む限りイギリスの左派というものは反政府、反主流という立場と言った感じです。
例えばスコットランド独立賛成派はミクロな、ドメスティックな右翼ですが、彼らは反主流という意味で左派に属するもののようです。

この辺りの差異を頭に入れておくと読みやすそうです。

9. 名無しのおっちゃん

2024年11月11日 12時40分 ID:8c5a9d4c69 (2/4) ID抽出 返信

内容に少し触れていきます。
まず最初に取り上げられるのはケン・ローチという老映画監督です。彼は左派の分裂によって貧困層や労働者が支援されないことを危惧し、極右政党UKIPの対抗馬としてレフト・ユニティを立ち上げます。本書では「極左のUKIP」と表現されています。
その集会の中で意見の対立が起こった際の描写に著者は「(p.25)社会主義系の人々には真面目で熱い人が多いだけに~』という表現を用いている辺りがニュートラルな立場から逸脱しているように思えましたが、多少のそういった偏見を持ちつつも、全般にはなるべくニュートラルに描こうとしているような文章になっています。
ケン・ローチ自体が公言しているように左派が分裂し、意見対立を起こしていることは明白で、なおかつ貧困層や労働者を保護するという方向性は2014年当時のイギリスにおいて失われつつあるという危惧が左派自体にもあったことが書かれています。

10. 名無しのおっちゃん

2024年11月11日 12時50分 ID:8c5a9d4c69 (3/4) ID抽出 返信

3人目に取り上げられるのはローワン・アトキンソンです。Mr.ビーンで知っている方も多いのではないでしょうか。
彼は比較的右派のようなイメージでしたので本書で名前が挙がっているのを見て少し驚きました。が、本書を読む限りいわゆる日本で言う左派ではないということは明白でした。
というのも彼は言論の自由や表現の自由を尊重すべく「公共秩序法セクション5」に記載された「言葉による脅迫や暴行、侮辱」という条文から「侮辱」の要件を外すべきだと活動し(本条文からは2014年に侮辱の文言が削除された)、「人種的及び宗教的憎悪禁止法」の成立にも反対している事実が書かれているからです。
そしてポリティカル・コレクトネス、いわゆるポリコレにも本書は言及しているのですが、著者もローワン・アトキンソンの言動を通してこれを「権威主義的だ」と批判しているのも面白い点です。
ポリコレを権威主義的なものと捉えた際に、それを批判しているローワン・アトキンソンが右派であるはずがない→本来の意味で言う左派だ、ということから彼がリストアップされているようです。

ちなみに本書で2番目に取り上げられる人物はハリー・ポッターで知られるJ.K.ローリングですが、映画も原作もよく知らないので詳しく語れません。

11. 名無しのおっちゃん

2024年11月11日 13時01分 ID:8c5a9d4c69 (4/4) ID抽出 返信

まだ読み終えていませんが、本書にはこのような記述があります。

(p.59~60)どちらかといえばポリティカル・コレクトネスという印籠をひけらかして、「差別者」「貴様は右翼だ」とPC警察庁の警官よろしく彼(※注:ローワン・アトキンソン)を批判したフェミニストや左翼人たちのほうが右側にいそうな気がする。

PC警察庁の警官、というのはいわゆるネット警察、正義マンといった意味かなと思います。
つまり2014年当時、イギリスにいた著者はポリコレを盾に左派が右派のような行動を取っていることを指摘しているわけです。これはなかなかに面白い発見でした。

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